積分記号の下での微分で遊ぶ
名古屋大学での演習問題 の 8 番を解いていたらすごく悩んだので解法をメモすることにします.
(1) $(n \in \mathbb{N})$ のとき,
$\displaystyle \int_{0}^{\infty} \dfrac{1}{(1+x^2)^{n+1}}\,dx = \dfrac{(2n-1)!!}{2n!!} \dfrac{\pi}{2}$
これは他の解き方を知っていて, そっちに引っ張られちゃいました.
部分積分をして漸化式を立てるか, $x = \dfrac{1}{\tan \theta}$ とすると Wallis の公式の形になります.
パラメータを $a$ として, $\dfrac{1}{(1+ax^2)^{n+1}}$ とするといいのかなあと思いましたがいまいちしっくりこなかった.
>>追記
OT 先生からテクを伝授してもらいました. パラメータを $a$ として
$\dfrac{1}{(a+x^2)^{n+1}}$ とすると $\displaystyle \int_{0}^{\infty} \dfrac{1}{a+x^2}\,dx = \dfrac{1}{\sqrt{a}} \dfrac{\pi}{2}$
となります. 両辺を $a$ で $n$ 階偏微分すると与式が得られます.
例題に引っ張られて分母を $a + x^2$ にするのを試していませんでした... 1 次の分数関数を微分すると分子が定数だけになるというのは抑えていたほうがいいですね. 勉強になりました(ありがたい).
(2) $a,\ b > 0$ のとき,
$\displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \log(a^2 \cos^2x + b^2 \sin^2 x) \,dx\ = \pi \log\left(\dfrac{a+b}{2}\right)$
これは積分記号下の微分を使わないとまともに計算出来ないですね...
まず, この積分を, $a$ を変数と思った上で $a$ について積分記号下の微分をすると,
$
\begin{align}
F'(a) = \dfrac{d}{da} \displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \log(a^2 \cos^2x + b^2 \sin^2 x) \,dx &= \displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \dfrac{\partial}{\partial a} \log(a^2 \cos^2x + b^2 \sin^2 x) \,dx\\
&= \displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \dfrac{2a\cos^2x}{a^2 \cos^2x + b^2 \sin^2 x} \,dx\\
\end{align}
$
適当に置換積分をすると $\displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \dfrac{2a\cos^2x}{a^2 \cos^2x + b^2 \sin^2 x} \,dx = \dfrac{\pi}{a+b}$
$\therefore F(a) = \pi \log (a + b) + C$
ここで $a = b$ と思うとこの積分の値は $\pi \log a$ になるので, $C = - \pi \log 2$ が分かる.
$\therefore F(a) = \pi \log\left(\dfrac{a+b}{2}\right).$ $//$