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Lilliput Steps

小さな一歩から着実に. 数学やプログラミングのことを書きます.

Gamma 関数の相反公式

問題

Gamma 関数の相反公式

$$\Gamma(z)\Gamma(1-z) = \dfrac{\pi}{\sin(\pi z)} (z \in \mathbb{C}, 0 < \text{Re}(z) < 1)$$

を示せ.

ここで, $\Gamma(z) = \displaystyle\int_{0}^{\infty} t^{z-1}e^{-t}\,dt$ です.

たとえば, この公式を認めると

$$ \left\{\Gamma\left(\dfrac{1}{2}\right)\right\}^2 = \pi $$

から, 有名な Gauss 積分の結果

$$ \Gamma\left(\dfrac{1}{2}\right) = \sqrt{\pi} $$

が得られます.

Gamma 関数の定義を代入すると,

\begin{align*}
\Gamma(z)\Gamma(1-z) &= \left(\int_{0}^{\infty} e^{-s} s^{z-1}\,ds\right)\left(\int_{0}^{\infty} e^{-t} t^{-z}\,dt\right)\\
&= \int_{0}^{\infty} \int_{0}^{\infty} e^{-s} s^{z-1}e^{-t} t^{-z}\,ds\,dt\\
&= \int_{0}^{\infty} \int_{0}^{\infty} e^{-(s+t)} \left(\dfrac{s}{t}\right)^z \dfrac{1}{s}\,ds\,dt
\end{align*}

ここで, $s = r \cos^2 \theta, t = r \sin^2 \theta$ とすると, ヤコビアン $J$ は

$$J = \dfrac{\partial (s,\ t)}{\partial (r,\ \theta)} = \begin{vmatrix} \cos^2 \theta & -2r \cos \theta \sin \theta \\ \sin^2 \theta & 2r \sin \theta \cos \theta\end{vmatrix} = 2r \cos \theta \sin \theta$$

よって,

\begin{align*}
\Gamma(z)\Gamma(1-z) &= \int_{0}^{\infty} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} e^{-r} \left(\dfrac{r \cos^2 \theta}{r \sin^2 \theta}\right)^z \dfrac{1}{r \cos^2 \theta} 2r \sin \theta \cos \theta\,d\theta\,dr\\
&= 2 \int_{0}^{\infty} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} e^{-r} \left(\dfrac{1}{\tan^2 \theta}\right)^z \tan \theta\,d\theta\,dr\\
&= 2 \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \left(\dfrac{1}{\tan^2 \theta}\right)^z \tan \theta\,d\theta\
\end{align*}

ここで, $x = \tan \theta$ とすると $dx = \dfrac{d\theta}{\cos^2 \theta} = d\theta(x^2+1)$ より $d \theta = \dfrac{dx}{x^2+1}$ を得る.

また, $\theta\ |\ 0 \to \frac{\pi}{2}$ のとき $x\ |\ 0 \to \infty$ だから,

\begin{align*}
\Gamma(z)\Gamma(1-z) &= 2 \int_{0}^{\infty} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1} dx
\end{align*}

となる.

(以下では, 紛らわしいが $x$ を複素変数とする.)

ここで, $0 < \text{Re}(z) < 1$ であったので $-1 < \text{Re}(-2z + 1) < 1$ に注意する必要がある.
なぜなら, 上の積分は複素積分を適当な閉曲線をとって実行すればできそうだが, $z$ の値によっては原点が極になってしまうことがあるからだ.

そこで, 次のような積分路 $\text{C}$ を取る. ただし $r$ は下記の極が入るように充分小さくとる.
f:id:kagamiz:20150306010207p:plain

この積分路には原点が含まれない.

ここで, 被積分関数の極は $\pm i$ である. よって, 留数定理より

\begin{align*}
2 \oint_{\text{C}} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1} dx &= 4 \pi i \left\{\text{Res}(i) + \text{Res}(-i) \right\}\\
&= 2 \pi (e^{(-z + \frac{1}{2})\pi i} - e^{(-3z + \frac{3}{2})\pi i})
\end{align*}

次に,

\begin{align*}
2 \oint_{\text{C}} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1}\,dx &= 2 \int_{r}^{R} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1}\,dx + \int_{R}^{r} \dfrac{(xe^{2\pi i})^{(-2z + 1)}}{x^2 + 1}\,dx\\
&= 2 (1 - e^{2(-2z+1)\pi i}) \int_{r}^{R} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1}\,dx
\end{align*}

となる. (2 つの円形部は, $R \to \infty$ の極限と $r \to 0$ の極限で $0$ に収束するため無視.)

$R \to \infty$ の極限と $r \to 0$ の極限 をとって,

\begin{align*}
2 (1 - e^{2(-2z+1)\pi i}) \int_{0}^{\infty} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1}\,dx &= 2 \pi (e^{(-z + \frac{1}{2})\pi i} - e^{(-3z + \frac{3}{2})\pi i})\\
2 \int_{0}^{\infty} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1}\,dx &= 2 \pi \dfrac{e^{(-z + \frac{1}{2})\pi i} - e^{(-3z + \frac{3}{2})\pi i}}{1 - e^{2(-2z+1)\pi i}}
\end{align*}

右辺の $\exp$ の部分が参事になっているが, 丁寧に変形していくと,

\begin{align*}
2 \int_{0}^{\infty} \dfrac{x^{-2z+1}}{x^2+1}\,dx &= 2 \pi \dfrac{e^{(-2z + 1)\pi i}(e^{-(-z + \frac{1}{2})\pi i} - e^{(-z + \frac{1}{2})\pi i})}{e^{-2z \pi i}(e^{2z \pi i} - e^{-2 z \pi i})}\\
&= 2 \pi \dfrac{e^{\pi i}(e^{-(-z + \frac{1}{2})\pi i} - e^{(-z + \frac{1}{2})\pi i})}{e^{2z \pi i} - e^{-2 z \pi i}}\\
&= 2 \pi \dfrac{-e^{\pi i} 2 i \sin((-z + \frac{1}{2})\pi)}{2i \sin (2 \pi z)}\\
&= 2 \pi \dfrac{\sin(-\pi z + \frac{\pi}{2})}{\sin(2 \pi z)}\\
&= 2 \pi \dfrac{\cos(\pi z)}{2 \sin (\pi z) \cos (\pi z)}\\
&= \dfrac{\pi}{\sin (\pi z)}
\end{align*}

よって, 与えられた等式

$$\Gamma(z)\Gamma(1-z) = \dfrac{\pi}{\sin(\pi z)}$$

が成立することが示された. $//$