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Lilliput Steps

小さな一歩から着実に. 数学やプログラミングのことを書きます.

正単体の超体積

問題

$\mathbb{R}^n$ にあって互いの距離がすべて $1$ であるような $n+1$ 個の点のなす図形を$n$ 次元の 1 辺の長さが $1$ の正単体という. 正単体の超体積を $n$ の式で表わせ.


解法

まず, 題意を満たす$n+1$ 個の点を $n$ 次元のユークリッド空間内にとってみよう.
このうち, $n$ 個の点
$$\left(\dfrac{\sqrt{2}}{2},\ 0,\ \cdots,\ 0\right),\ \left(0,\ \dfrac{\sqrt{2}}{2},\ \cdots,\ 0\right),\ \cdots,\ \left(0,\ 0,\ \cdots,\ \dfrac{\sqrt{2}}{2}\right)$$
はすぐに取ることが出来る. いま, この$n$ 個の点が $n - 1$ 次元の正単体であり, $\mathbb{R}^n$ では超平面を成すことに留意し, 残りの 1 点を定めよう.

この 1 点を $(x_1, x_2,\ \cdots,\ x_n)$ とすると, 距離に関する条件より, $n$ 元連立 2 次方程式
$
\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
\left(x_1 - \dfrac{\sqrt{2}}{2}\right)^2 + x_2^2 + \cdots + x_n^2 = 1 \\
x_1^2 + \left(x_2 - \dfrac{\sqrt{2}}{2}\right)^2 + \cdots + x_n^2 = 1 \\
\cdots \\
x_1^2 + x_2^2 + \cdots + \left(x_n - \dfrac{\sqrt{2}}{2}\right)^2 = 1
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
$

を得る. この連立方程式を解くと, $x_1 = x_2 = \cdots = x_n = \dfrac{1 \pm \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n}$ となるが, 復号の符号はどちらをとっても良く($n - 1$ 次元正単体が成す超平面の上側か下側のいずれにあるのかを決定するだけである), 今回は $x_i = \dfrac{1 + \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n}$ としよう.

最初に挙げた $n$ 個の点が$n - 1$ 次元の正単体であるから, この超体積を$V_{n-1}$ とし, この超平面と新たな点
$$\left(\dfrac{1 + \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n},\ \dfrac{1 + \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n},\ \cdots,\ \dfrac{1 + \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n}\right)$$までの距離などから$n$ 次元の正単体の超体積$V_n$ を得ることを考えてみよう.

最初の$n$ 個の点から成る超平面は $\displaystyle\sum_{i=1}^{n}x_i = \dfrac{\sqrt{2}}{2}$ で表される. この超平面と点
$$\left(\dfrac{1 + \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n},\ \dfrac{1 + \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n},\ \cdots,\ \dfrac{1 + \sqrt{n + 1}}{\sqrt{2}n}\right)$$の距離$h$ は, 点の位置ベクトルを$\boldsymbol{p}$, 超平面の法線ベクトルを$\boldsymbol{n}$ とすると,
$$h = \dfrac{|\boldsymbol{p}\cdot \boldsymbol{n} - \dfrac{\sqrt{2}}{2}|}{|\boldsymbol{n}|} = \dfrac{\sqrt{n + 1}}{\sqrt{2n}}$$

となる. $V_n$ は, 超底面積が $V_{n-1}$, 高さが$h$ の正単体であり

$$V_n = \int_{0}^{h} V_{n-1} \left(\dfrac{x}{h}\right)^{n-1} dx$$

で求まる. ここで, 項$\left(\dfrac{x}{h}\right)^{n-1}$ は, 微小区間$dx$ での超低面積比を考えて, 通常の比の $n - 1$ 倍となっていることに留意する. この積分を実行することで,

$$V_n = \dfrac{h}{n}V_n = \dfrac{\sqrt{n+1}}{\sqrt{2n}n}V_{n-1}$$

を得る. 次元 1 の正単体は線分であるから $V_1 = 1$ ということに注意し漸化式を解くことで, $V_n = \dfrac{\sqrt{n+1}}{\sqrt{2^n}n!}$ という式を得る. $//$